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歯医者さんでいわれる歯周ポケットって?放置するとどうなるの?
皆さん、歯医者さんで「歯周ポケットがあります」「歯周ポケットが深いです」などと言われたことはありませんか?ほとんどの方が、実際歯周ポケットとは何なのか、十分できていないのではないかと思います。
この記事では、歯周ポケットについて詳しく解説いたします。この記事を読み終わるころには、「そういうことだったのか!」と、歯医者さんに言われたことの答え合わせができるでしょう。
歯周ポケットとは
歯周ポケットは、歯と歯肉(歯ぐき)の間にできる溝や空間のことを指します。通常、健康な歯肉ではこのポケットの深さは1〜3ミリ程度です。しかし、歯周病が進行すると、歯肉が歯から離れ、ポケットが深くなります。この深いポケットは、細菌や歯石がたまりやすくなり、歯周病進行の原因となります。
歯周ポケットができるまで
- 歯垢の蓄積
- 歯垢(プラーク)は、食べ物の残りかすや唾液の中の細菌が混ざり合って形成され塊になっている物質のことを指します。歯磨きが不十分だと歯垢が歯の表面に残り、時間とともに石灰化して固まり、歯石になります。
- 歯肉炎の発症
- 歯垢や歯石が歯と歯肉の間に蓄積すると、歯肉が炎症を起こします。これが歯肉炎です。歯肉炎は歯周ポケットの形成の初期段階で、歯肉が赤く腫れ、触れると出血しやすくなります。
- 歯周炎への進行
- 炎症が進行すると、歯肉が歯から離れ始め、歯と歯肉の間に深いポケットが形成されます。これが歯周ポケットです。ポケットが深くなると、さらに多くの歯垢と歯石が溜まりやすくなり、炎症が悪化します。
- 組織と骨の破壊
- 歯周炎が進行すると、歯を支える組織や骨が破壊されることがあります。これにより、歯が動揺したり、最終的には脱落したりすることがあります。
歯周ポケットとプラーク(歯垢)
歯周ポケットとプラーク(歯垢)は深く関係している
歯周ポケットの形成と歯垢(プラーク)は深く関連しています。歯垢は前述のとおり、食べ物の残りかす、唾液、細菌が混ざり合って形成されるバイオフィルムで覆われた細菌の塊です。毎日の歯磨きやフロスが不十分だと、歯垢は歯の表面や歯と歯肉の境界に蓄積します。歯垢内の細菌は酸を産生し、これが歯のエナメル質を侵食するだけでなく、毒素を放出して歯肉を刺激します。これにより歯肉炎が引き起こされ、歯肉が赤く腫れ、出血しやすくなります。炎症が進行すると、歯肉が歯から離れ、歯と歯肉の間に溝や空間、すなわち歯周ポケットが形成されます。歯周ポケット内は清掃が難しいため、細菌がさらに増殖しやすくなり、炎症が持続します。これが進行すると、歯周炎となり、歯周組織や骨が破壊されることになります。結果として、ポケットがさらに深くなり、歯周病が進行し、最悪の場合、歯が動揺して脱落することもあります。このように、歯垢の蓄積が歯周ポケットの形成と深さに直接的な影響を与え、歯周病の進行を助長するのです。したがって、毎日の口腔ケアと定期的な歯科検診が歯垢の蓄積を防ぎ、歯周ポケットの形成を抑制するために非常に重要です。
歯周ポケットが深くなりやすい人
歯周ポケットが深くなる一番の原因はプラークの蓄積だということがわかりましたね。さらに歯周ポケットが深くなりやすい人は、様々な要因が重なって歯周病が進行している人が多いです。
1つでも当てはまれば、将来的に歯周ポケットは深くなっていくかもしれません。
1. 口腔衛生が不十分な人
- 歯磨きやフロスを怠る: 歯垢が蓄積し、歯周病が進行しやすくなります。
- 定期的な歯科検診を受けない: 歯ブラシでは除去しきれない歯垢や歯石がたまり続けると、歯周ポケットが深くなりやすくなります。
2. 喫煙者
- タバコの使用: 喫煙は歯周病のリスクを高め、歯周治療の効果を低減させます。喫煙は歯肉の血流を悪化させ、歯周病の進行を助長します。
3. 遺伝的要因
- 家族歴: 歯周病が遺伝的に発生しやすい家庭もあり、その場合は予防に努めることが特に重要です。
4. 全身的な健康状態
- 糖尿病: 血糖値のコントロールが不十分な場合、感染症に対する抵抗力が低下し、歯周病が進行しやすくなります。
- 免疫力の低下: HIV感染や免疫抑制剤の使用などで免疫力が低下している場合、歯周病が進行しやすくなります。
5. ホルモンの変化
- 妊娠、月経、更年期: ホルモン影響で炎症が起こりやすくなり、歯周病が進行しやすくなることがあります。
6. 食生活
- 不健康な食生活: 糖分の多い食事やビタミン不足は歯肉の健康に悪影響を与えます。
7. ストレス
- ストレス: ストレスは免疫力を低下させ、歯周病の進行を助長することがあります。
8. 不適切な歯科治療
- 不適合な歯の補綴物: これらが適切にフィットしていない場合、歯垢が溜まりやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。
歯周ポケットを放置すると
歯周ポケットを放置すると、さまざまな深刻な問題が発生する可能性があります。
1. 歯周病の進行
歯周ポケットが深くなると、細菌や歯垢がさらに溜まりやすくなり、炎症が進行します。これにより歯周組織(歯周靭帯や歯槽骨)が破壊され、歯周病が悪化します。最終的には、歯の支持組織が失われ、歯が動揺し、最終的には脱落することがあります。
2. 口腔内の問題
- 口臭: 歯周ポケットに蓄積した細菌や腐敗物質が悪臭を放ち、口臭が悪化します。
- 歯肉の出血: 歯周ポケット内の炎症が進行すると、歯肉が出血しやすくなります。これは歯磨きや食事の際に特に顕著になります。
- 歯の痛み: 歯周病が進行すると、歯肉や歯周組織が損傷し、歯の痛みが発生することがあります。
3. 全身疾患との関連
歯周ポケットを放置すると、細菌やその産生物が血流に入り込み、全身の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
- 心血管疾患: 歯周病菌が血管内に入り込むことで、動脈硬化のリスクが高まり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増加します。
- 糖尿病の悪化: 歯周病は体内の炎症レベルを上昇させ、インスリン抵抗性を引き起こし、血糖値のコントロールが難しくなります。
- 呼吸器疾患: 口腔内の細菌が肺に移行することで、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが増加します。
- 早産や低体重児出産: 妊娠中の女性が歯周病を持っていると、早産や低体重児出産のリスクが高まるとされています。
4. 生活の質の低下
- 食事の困難: 歯や歯肉の痛み、動揺によって食事が困難になり、栄養状態が悪化することがあります。
- 精神的ストレス: 口臭や歯の見た目の悪化によって、自信が失われ、社会的な交流が減少することがあります。
全身疾患との関係
知らないと怖い歯周ポケットと全身疾患の関係
歯周ポケットと全身疾患は密接に関連しています。歯周ポケットが深くなると、口腔内の細菌が増殖しやすくなり、これらの細菌やその産生物(毒素)は血流に乗って全身を巡ることがあります。
まず、心血管疾患との関連があります。歯周病菌が血流に入ると、動脈硬化のリスクが高まり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増加することが知られています。歯周病菌やその毒素は、動脈の内壁に炎症を引き起こし、プラーク(血管内の脂肪沈着物)形成を促進します。これにより血管が狭くなり、血流が妨げられるためです。
次に、糖尿病との関連です。歯周病は炎症性疾患であり、体内の炎症レベルを上昇させることがあります。これがインスリン抵抗性を引き起こし、血糖値のコントロールを難しくします。逆に、高血糖状態は歯周病の進行を助長します。この双方向の関係により、糖尿病患者は歯周病のリスクが高くなります。
さらに、呼吸器疾患との関連も指摘されています。歯周病菌が口腔から肺に移行することで、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが増加することがあります。特に高齢者や免疫力が低下している人々においては、口腔内の細菌が重大な呼吸器感染症を引き起こすことがあります。
また、早産や低体重児出産との関連も研究されています。妊娠中の女性が歯周病を持っていると、炎症性メディエーターが胎盤を通過し、早産や低体重児出産のリスクを高めると考えられています。
歯周ポケットの治療方法
歯周ポケットの治療は、炎症を抑え、歯と歯周組織の健康を回復することを目指します。治療法は、歯周ポケットの深さや歯周病の進行度に応じて異なります。
1. スケーリングとルートプレーニング(SRP)
スケーリング
- 目的: 歯の表面や歯周ポケット内の歯垢や歯石を除去すること。
- 方法: 歯科医や歯科衛生士が手用スケーラーや超音波スケーラーを使って、歯垢と歯石を丁寧に取り除きます。
ルートプレーニング
- 目的: 歯の根面を滑らかにし、細菌の再付着を防ぐこと。
- 方法: 専用の器具で根面に付着した汚れを落として滑らかにし、炎症を引き起こしている細菌の毒素を除去します。
2. 抗菌療法
- 目的: 口腔内の細菌を減少させ、炎症を抑えること。
- 方法: 抗生物質の投与(局所的または全身的)や抗菌性うがい薬の使用が行われます。特に深い歯周ポケットや全身疾患との関連がある場合に効果的です。
3. 外科的治療
フラップ手術
- 目的: 深い歯周ポケットの清掃と、骨や歯周組織の再生を促進すること。
- 方法: 歯肉を切開して剝離し、根面と骨を直接清掃し、その後、歯肉を元に戻して縫合します。
歯周再生療法
- 目的: 失われた歯周組織や骨の再生を促進すること。
- 方法: 骨移植や組織再生誘導法(GTR)などが行われます。これにより、骨や歯周靭帯の再生を図ります。
4. メンテナンス治療
- 目的: 歯周病の再発を防ぐこと。
- 方法: 定期的な歯科検診とプロフェッショナルクリーニングが必要です。通常、1-3か月ごとにメンテナンスを行います。
5. ライフスタイルの改善
- 口腔ケア: 毎日の適切な歯磨きとフロスの使用が重要です。歯科医や歯科衛生士から適切なブラッシング方法の指導を受け、セルフケアの改善を図ります。
- 禁煙: 喫煙は歯周病の進行を助長するため、禁煙が推奨されます。
- 食生活の改善: バランスの取れた食事を心がけ、糖分の摂取を控えることが歯周病の予防に役立ちます。
歯周ポケットの予防方法
歯周ポケットの予防方法には、適切な口腔ケアと健康的な生活習慣が重要です。以下に具体的な予防方法を詳しく説明します。
1. 適切な歯磨き
- 歯磨きの頻度: 少なくとも1日2回、朝と夜に歯を磨きます。
- 歯磨きの技術: 正しいブラッシング技術を習得し、歯と歯肉の境界部分を丁寧に磨くことが重要です。歯ブラシは45度の角度で歯肉に向けてあて、歯肉を言マッサージするように磨きます。これをバス法とも言います。
- 適切な歯ブラシの選択: 柔らかく細い植毛の歯ブラシを使用し、1-3ヶ月ごとに交換します。
2. 補助用具の使用
- 歯間部の清掃: フロスや歯間ブラシを毎日使用して、歯と歯の間の歯垢や食べ物の残りかすを取り除きます。フロスや歯間ブラシを使うことで、ブラッシングだけでは届かない部分の清掃が可能になります。
3. 定期的な歯科検診とクリーニング
- 歯科検診の頻度: 1-3ヶ月ごとに定期的な歯科検診を受け、歯科医や歯科衛生士によるクリーニングを受けます。これにより、自分で取れない歯垢や歯石を除去できます。
- 早期発見と治療: 歯周病の初期兆候を早期に発見し、適切な治療を受けることが予防に繋がります。
4. 健康的な食生活
- バランスの取れた食事: 野菜、果物、全粒穀物、低脂肪の乳製品、タンパク質を含むバランスの取れた食事を心がけます。
- 糖分の制限: 糖分の多い食品や飲料を控え、虫歯や歯周病のリスクを減らします。
5. 禁煙
- タバコの影響: 喫煙は歯周病のリスクを大幅に高めるため、禁煙が推奨されます。禁煙により、歯周組織の健康が改善され、歯周病の進行を防ぐことができます。
6. 適切な口腔ケア製品の使用
- 有効成分が入った歯磨き粉の使用:抗炎症成分や殺菌成分の入った歯磨き粉を併用することで歯周病予防効果が増進します。
- 抗菌性うがい薬: 抗菌性のうがい薬を使用して、口腔内の細菌の数を減らし、歯肉の健康を保ちます。
7. ストレス管理
- ストレスの影響: ストレスは免疫力に影響を与え、歯周病のリスクを高めることがあります。適切なストレス管理(運動、リラクゼーション、十分な睡眠など)が重要です。
まとめ
いかがでしたか?こうやって知っていくと、歯周ポケットは誰でもリスクがありますよね。歯周ポケットの形成と進行は、年齢、口腔ケアの習慣、遺伝的要因、全身的な健康状態など、さまざまな要因によって影響を受けます。若い頃から適切な口腔ケアを怠ると、歯周ポケットのリスクは増大しますが、年齢を重ねるにつれて、そのリスクはさらに高まります。
歯周ポケットは誰にでもリスクがあり、適切な予防と治療のためには歯科医院での専門的なケアが欠かせません。家庭での口腔ケアと併せて、定期的な歯科検診とプロフェッショナルクリーニングを行うことで、歯周ポケットの形成を防ぎ、口腔内の健康を長く保つことができます。
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